猿田佐世がモーニングショーで語った「日本ほど中国と揉めている国はない」とは
猿田佐世のプロフィール情報
発言があった放送回とテーマの概要
テレビ朝日系「羽鳥慎一モーニングショー」では、台湾有事をめぐる高市早苗首相の国会答弁を受けて、中国が日本に対する圧力を強めているというテーマが取り上げられました。
この流れの中でコメンテーターとして出演した弁護士・猿田佐世さんが、日中関係の緊張についてコメントし、後にネット上で大きな議論を呼ぶことになりました。
台湾有事と高市早苗首相の国会答弁との関係
今回の議論の前提となっているのが、高市早苗首相の台湾有事に関する国会答弁です。
台湾有事とは、中国が台湾に対して軍事行動を取る可能性や、それに伴い日本やアメリカが巻き込まれる事態を指す言葉で、日本の安全保障政策にとって極めて重いテーマです。
高市首相の発言は、中国側から見ると「内政問題への干渉」「台湾独立を後押ししている」と受け止められやすく、外交的な反発や、経済・文化面での圧力を強める口実にもなり得ます。
こうした背景があったからこそ、モーニングショーでも「発言の余波」として日中関係が議論された形です。

視聴者としては「高市さんが正しいか、中国が悪いか」みたいな二択に落とし込まず、「この発言で日本がどんなリスク背負うことになったのか」をもう一歩踏み込んで説明してほしい気持ちもありますね。
日本人アーティストの中国公演中止に
番組では、政治の話だけでなく、日本人アーティストの中国公演が相次いで中止・中断されている事例が詳しく紹介されました。
これは、視聴者にとって身近な「エンタメニュース」を入り口に、対中関係の悪化がどのように文化交流やビジネスに影響しているかを伝える狙いがあったと考えられます。
政治・外交の議論は抽象的になりがちですが、公演の中止やパフォーマンスの強制中断といった出来事は、日常レベルでの「損失」として実感しやすいためです。

番組がエンタメ事例を入り口にしたこと自体は、「日中関係の悪化は軍事や外交の話だけではなく、ライブ、イベント、観光など身近な楽しみまで直撃する」という現実を伝える意味で意義があったと思います。
一方で、視聴者にとっては「中国ひどい」「日本かわいそう」という感情だけが残りやすい構成にもなり得るため、本来であれば、高市首相発言と中国側の反応、そしてアーティスト側や現地ファンの立場などをもう少し多面的に補足してくれると、さらに理解が深まったのではないかと感じますね。
問題となった「日本ほど中国と揉めている国はない」発言とは
こうした流れの中で、猿田佐世さんは「世界中を見渡しても、日本ほど中国と揉めている国は今はどこもない」と発言しました。
彼女は、日中間の緊張が非常に高まっていることを強調し、日本が中国に対して過度に対立的な姿勢を取ることのリスクを訴えた形です。
このフレーズは見出しにも大きく取り上げられ、SNS上では「誇張ではないか」「日本だけが特別に揉めているわけではない」といった反発と、「それだけ危ない状態にあるという警告だ」と受け止める擁護の両方を呼び込みました。

問題意識そのものは理解できるけれど、例え方と強さの調整をもう一段丁寧にしていれば、ここまで炎上せずに、建設的な議論につながったのではないか」というもったいなさを感じる発言だと思います。
「中国の過剰反応」と「日本側の過剰反応」を巡る猿田佐世の主張
猿田さんは同じ場面で、「中国の過剰反応で、さらに私たちが過剰反応するようなことがないようにしていきたい」とも述べています。
ここで言う「過剰反応」とは、中国が政治的なメッセージとしてアーティスト公演中止などを行っていること、そしてそれに対して日本側が感情的に対中敵視を強めすぎることの両方を指していると考えられます。
彼女の立場は、すでに緊張が高い状況だからこそ、さらに一段階エスカレートさせるような対応を避けるべきだというものであります。

「どちらが悪いか」の一点で見ると不十分ですが、「どうすれば最悪の事態(軍事衝突や決定的断絶)を避けられるか」を考える視点としては重要な指摘だと思われます。
中国の過剰な行動を批判しつつも、日本側が長期的に得をするのはどんな対応か、という冷静な計算を失わないことが、まさに彼女の言う「過剰反応を避ける」ことの中身なのだと理解すると、発言全体のニュアンスが捉えやすくなるはずですね。
モーニングショーで紹介された具体的な事例は
大槻マキの上海イベントでのパフォーマンス強制中断
番組ではまず、アニメ「ONE PIECE」の主題歌で知られる歌手・大槻マキさんのケースが取り上げられました。
彼女は上海で行われたイベントに出演し、パフォーマンス中に突然ステージを強制的に中断させられるという異例の対応を受けています。
この出来事は中国国内のSNSでも話題となり、実際の理由や背後にある政治的配慮について、さまざまな憶測を呼びました。
日本側にとっては、文化イベントが政治的メッセージの場として使われた象徴的な事例と言えます。
浜崎あゆみの上海公演中止と無観客ステージの経緯
続いて紹介されたのが、人気歌手・浜崎あゆみさんの上海公演です。
浜崎さんは中国での公演を予定していましたが、公演自体が中止となり、その後無観客でステージを行うという形に変更されました。
ファンが会場で楽しむ通常のライブとは大きく異なる形であり、政治的・外交的な事情が影響しているのではないかと受け止められました。
日本の大物アーティストまでが影響を受けていることから、「一部のマイナーイベントに限らない動き」として視聴者に強い印象を与えたと考えられます。
日本アーティストへの影響が象徴する日中関係の緊張
これらの事例は、それぞれ単発のトラブルとしても説明可能ですが、同じ時期に続けて起きていることから、番組では「中国が日本に対して圧力を強めている一環」として紹介されました。
東大大学院の阿古智子教授は、失業率の高さやデフレ進行など中国国内の経済状況が厳しく、対外的に強硬な姿勢を取り続けることで国内不満をコントロールしようとしている面があると分析しています。
文化・エンタメ分野での締め付けは、一般市民に「対外強硬姿勢」を見せるための分かりやすい手段でもあり、政治的なサインとして使われていると理解すると全体の構図が見えやすくなります。

文化の締め付けを政治的サインとして使うやり方って、一般の人にも一番分かりやすいメッセージな分、「あ、日本との空気ほんまに悪なってきてるんやな」というシグナルにもなってしまうのが怖いところです。
軍事と外交のニュースより先に、「推しの公演が飛ぶ」「イベントが急に消える」という形で日中関係の悪化を体感させられるのは、なんともイヤな時代やなあ、というのが率直な感想です。
「日本ほど中国と揉めている国はない」は事実か検証する
尖閣諸島問題を中心とした日中の安全保障上の対立
日本と中国の間には、尖閣諸島をめぐる領有権問題という大きな火種が存在します。
中国公船が尖閣周辺の接続水域や領海にたびたび入域し、日本の海上保安庁が警戒・対応を続けている状況は、長期化する中で「新たな常態」となりつつあります。
さらに、中国軍の活動範囲拡大や台湾周辺での軍事演習は、日本の南西諸島防衛や在日米軍の運用にも直接関わるため、日本政府は防衛力の強化や安保政策の見直しを進めています。
こうした点だけを見ると、日中関係が「軍事的にきわめて神経質な状態」にあることは確かです。

「軍事的にきわめて神経質な状態」という表現は大げさではなく、むしろ実情にかなり近いと思われます。
だからこそ、本当に小さな行き違いや偶発的な接触が、大きな衝突に発展しないようにする仕組みや対話のチャンネルを、どんな立場の人でも冷静に考えないといけない段階に来ていると感じます。
中国と対立するインド・台湾・フィリピン・ベトナムとの比較
しかし、「日本が一番揉めている」と言い切れるかどうかは、他国との比較が必要です。
インドは中国と陸上の国境を接しており、近年実際に両軍の衝突で死者が出た事例があります。
台湾は、中国が自国の一部と主張する相手であり、ほぼ連日のように軍用機の接近や軍事演習が行われるなど、軍事的圧力の度合いは非常に高い状態です。
フィリピンやベトナムは、南シナ海での人工島建設や海警船の活動をめぐって、中国との間で激しい対立を経験してきました。
アメリカと中国の関係も、関税や輸出規制、ハイテク分野の制裁措置などを通じて、経済・安全保障両面で深刻な対立を続けています。
米中対立と日本の立ち位置
このように見ていくと、「物理的な軍事衝突のリスク」だけを基準にすれば、日本よりも緊張度が高い国や地域は複数あると言えます。
では、なぜ猿田さんは「日本ほど揉めている国はない」と表現したのでしょうか。
ここで重要になるのが、日本がアメリカの同盟国であり、同時に中国と巨大な経済関係を持つという「二重の関係性」です。
米中対立が激しくなるほど、日本は同盟国としての役割を求められる一方で、中国との経済関係の維持も迫られる立場にあり、二つの大国の間で板挟みになりやすい構図にあります。
猿田さんの表現は、こうした複雑な立ち位置を踏まえた「主観的な危機感」の表明として理解すると、意図が読み取りやすくなります。

単に「日本が中国と一番仲が悪い」と言いたかったというより、「日本の立場は他国よりもはるかに複雑で、慎重さが必要だ」というメッセージを、強い言葉で訴えようとした結果だと見るのが妥当ではないでしょうか。
まとめ
本記事では、弁護士・猿田佐世さんが「羽鳥慎一モーニングショー」で語った「日本ほど中国と揉めている国はない」という発言を軸に、発言の背景・真意・受け止められ方を整理しました。
台湾有事をめぐる高市早苗首相の国会答弁をきっかけに、中国が日本への圧力を強め、日本人アーティストの公演中止やパフォーマンス強制中断といった具体的な事例が相次いでいることが、議論の大きな前提になっています。
猿田さんは、こうした状況を踏まえて「中国の過剰反応」と同時に「日本側の過剰反応」も戒め、すでに高まっている日中間の緊張をこれ以上エスカレートさせないことの重要性を訴えました。
一方で、「日本ほど揉めている国はない」という強い表現は、インドや台湾、フィリピン、ベトナム、アメリカなど他の対中摩擦を抱える国々の状況と比べると誇張と受け取られやすく、SNS上では批判と擁護が鋭く対立する結果にもつながっています。
鍵になるのは、日本が「アメリカの同盟国」でありながら「中国と巨大な経済関係を持つ」という二重の関係性にあるという点です。
米中対立が激しくなるほど、日本は安全保障面では米国側の役割を求められつつ、中国との経済関係の維持も迫られるという板挟みの構図に置かれます。
猿田さんの発言は、この複雑で不安定な立場に対する主観的な危機感の表明として読むと、単なる「日本下げ」ではなく、「だからこそ一段と慎重な外交と発言が必要だ」という警告として理解しやすくなります。
また、日本人アーティストの中国公演中止や強制中断は、文化・エンタメ分野が政治的サインとして使われていることを象徴する出来事です。
尖閣諸島をめぐる対立や中国軍の活動拡大といった安全保障上の緊張に加え、ライブ・イベント・観光など身近な楽しみまで直撃し始めている現実は、日中関係が「軍事的にも社会的にも神経質な状態」にあることを浮き彫りにしています。
総じて、「誰が悪いか」だけをめぐる感情的な応酬ではなく、「どうすれば最悪の事態を避けつつ、日本の安全と経済的利益を守れるのか」を考えるための材料として、この発言と周辺の事実を捉え直すことが重要だと言えるでしょう。
最後までお読みいただきありがとうございました。



